Solar weekly vol.13/トピックス2(1994.4.29 FRI 発行の記事です)
サントリーと三菱電機の共同開発
サントリー(※3)と三菱電機(※4)は共同で、世界で初めて電子素子としての基本的な機能を備えた人エタンパク質の合成に成功。両社はそれぞれの得意分野であるバイオテクノロジーと電子技術を活かした研究開発に力を入れており、異業種企業の共同開発としても注目されている。
今回、合成に成功した人エタンパク質は、耐熱性をもつ天然タンパク質「チトクロームC552」に、ビタミンの一種で電子の授受機能をもつ「フラビン」を結合させたもので、製作には遺伝子工学を応用し「チトクロームC552」を構成するアミノ酸一つを特別な分子に置き換えて「フラビン」と結合させた。「チトクロームC552」には「ヘム」と呼ばれる電子の受渡しをする部位があり、「フラビン」と「ヘム」との間で電子の受渡しがなされる。これが、ちょうど半導体素子で電子を差し出すn型半導体層があるのに対応して、電流の流れを制御できる(※5)。
64メガビットメモリーチップの配線幅は約0.35~0.45ミクロン6)。タンパク質分子の大きさはその100分の1程度であるため、人エタンパク質を集積できれば超高密度の素子が実現できる。また、タンパク質に光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換特性、温度、圧力、イオンなどを検知する機能をもたせれば、太陽電池やカメラのイメージセンサーなどへ応用ができる。
◎サントリー(株)/03-3470-1104
(※3)サントリー基礎研究所は「ヘム」機造をもつタンパク質の研究に取組んでおり、同社が事業展開してきた酒類、食品、医薬以外の分野への展開の可能性を検索していた。
(※4)三菱電機中央研究所は、1984年から分子素子を生体材料で作る研究に着手していた。
(※5)一定方向に電流を通すダイオード機能、電流の流れを制御するスイッチングを備える。シリコン半導体の集積度の限界は1ギガ(10億)ビットとされるが、人エタンパクを集積した分子素子が実現できれば、1テク(1兆)ビットメモリーの達成も可能。
(※6) 1ミクロンは1000分の1ミリ。
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