Solar weekly vol.22/特集(1994.7.18 FRI 発行の記事です)

太陽電地は1954年、ピアソンによって発明されて以来、人工衛星や灯台、僻地用電源システムなどに応用されていくが、価格が高かったため広範囲に普及することはなかった。しかし1980年、1つの分岐点を迎える。アモルファス(※1)シリコン太陽電池の工業化である。
これによってエレクトロニクス機器の低消費電力化と低価格化が図られ、電卓や時計、ラジオなどに応用されて一般の人々にも身近なものとなった。こうして太陽電池へのニーズはますます多様化し、いま、太陽電池にはフレキシブル性が要求されるようになってきている。
今回から3回にわたって、TDKが開発した『フレキシブル太陽電池』を紹介する。なお開発の詳細についてはTDK社より資料をご提供していただいた。

アモルファスシリコン太陽電池は、P・I・Nの3種類のアモルファスシリコン層が積み重なった構造で、厚みは1万分の5ミリ程度の薄いものだ。これに光が当るとI層の内部でマイナス電子とプラスの電子が作られ、マイナスはN極に、プラスはP層にそれぞれ引き寄せられ、光エネルギーは電気に変換される。このアモルファスシリコン太陽電池の太陽下での変換効率は、結晶系太陽電池に比べて低いため屋内用途が中心になっているが、低コスト化の可能性が高いことで様々な応用が期待されている。また、結晶系のものにはない優れた特長も注目されており、今回のTDKのフレキシブル太陽電池では、基板の自由度と低温素子形成の特長を最大限に生かして開発が行われた。
アモルファスシリコン太陽電池の特長
1.光学的特性に優れ、結晶シリコンの数百分の1の厚さで発電能力が得られる。
2.波長感度が人間の視感度に近く、一般的な屋内照明である蛍光灯に感度がよい。
3.製造エネルギーが少なくてすむ。例えば、シリコン単結晶を作るのには1000°C以上の温度が必要なのに対して、アモルファスシリコンは2 0 0°C以下で製造することができる。
4.ガラス、金属板、樹脂フィルムなど、多様な基板上に素子を形成でき、大面積化も可能。
取材協力:TDK開発研究所/0473-78-9097
(※1)アモルファスとは、非晶質、非結晶質の意味で、原子が規則正しく並んだ結晶構造をもたない物質の総称と「アモルファス半導体」「アモルファス合金」「アモルファス磁性材料』など、アモルファス特有の性質を生かした様々なが実用化されている。
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